世間的には鍼灸治療というと一括りに考えられがちですが、同じ鍼灸治療でも施術者の治療方針や考え方、所属している流派によって施術の仕方というのは全然違ってきます。
細い鍼を身体の皮膚表面だけに刺入する施術者がいれば、太い鍼を深部の筋肉に直接刺入する施術者もいます。また毎回1回の施術で何十か所ものたくさんのツボに刺入する方がいる一方で、1回の施術で2~3か所にしか刺入しない方もいます。
 刺入した鍼をすぐに抜く、または置鍼といって20分ぐらい刺したままにする、刺入した鍼に電極を繋いで電気を流すなど様々です。
もちろん患者さんの症状や体質によって施術方法を使い分ける事はありますが、治療院によって基本的な施術スタイルというものはあると思います。
 なにより違うのが鍼灸治療に対する考え方で、東洋医学的な陰陽、気血水のバランスを整えるといった考えに基づいて施術を行う鍼灸師がいる一方で、東洋医学的な考え方を空理空論と考えて筋肉の起始停止部を直接狙い、効果的に筋肉を緩ませる施術をする鍼灸師がいます。また東洋医学的な治療といっても施術者によって全然捉え方が違ったりもします。
 どの治療方法が正しいという訳では無く、結局は施術者の人間の身体の捉え方、命の捉え方の違いであり、また症状に対する効果的な治療方法というのは決して一つしか無いのでは無く、幾つもあるのだと考えています。

 松阪漢方堂では、東洋医学的な気の流れを改善する事で病的な状態を正して、人間の治す力が最大限に発揮されて症状を改善していく事が出来るという考えに基づいて鍼灸治療を行っています。
 施術方法は、基本的に細い鍼を浅く刺入して、お灸は痕が残らず気持ちの良い温かさがあるように行っていきます。また鍉鍼(テイシン)といい、ツボを刺激するだけで刺さない鍼をツボの性質によって銅とアルミの鍉鍼(テイシン)を使い分けて治療を行う事もあります。
 また次回来院までの間、自宅で自分でツボにお灸が出来るように、灸点を付けることで改善が少しでも早くなるように取組んでいます。