咳・喘息

喘息の原因

喘息の代表的な症状は咳、呼吸時の喘鳴(ぜんめい)、痰、息切れ、息苦しさ(呼吸困難)などですが、これらの症状は気道の慢性的な炎症により引き起こされると考えられています。

 

気道に炎症があることで刺激に敏感になり埃やダニなどのアレルゲンや寒気といった外的要因により症状が起こってしまいます。

 

また激しい運動によって起こる喘息は「運動誘発性喘息」と言われ、運動することで呼吸が多くなり冷たく乾燥した空気をたくさん吸い込むため、気道が冷やされ乾燥することで刺激となり発作がおこると考えられています。

漢方治療における喘息の鑑別

漢方治療における喘息の捉え方は、乾燥型か湿潤型に大きく分けて考えます。

 

乾燥型の喘息は、喘鳴(ぜんめい)が少なく痰が濃い色(黄色)で切れ難いという特徴があります。また布団に入るなどして身体が温まると咳などの症状が酷くなるケースが多く見られます。代表的な漢方薬としては麦門冬湯、竹葉石膏湯、滋陰降火湯などがあります。

 

湿潤型の喘息は、喘鳴(ぜんめい)が多く、痰量が多く色が薄い(透明)切れやすいというのが特徴になり、麻杏甘石湯、小青龍湯、半夏厚朴湯などが使われる事が多いです。

 

乾燥型と湿潤型に大きく鑑別をしながら更に痰の色が濃く尚且つ量が多いケースや咳き込みながら吐いてしまう、汗をダラダラ流しながら咳き込むなどの特徴的な症状によってどの漢方薬が合っているのかを絞り込んでいきます。

咳喘息(風邪後に長引く咳)

風邪を引いた後に発熱などは治まったのに、いつまでも咳の症状だけが残ってしまうことがあり「咳喘息」と言われます。
「咳喘息」は慢性的な喘息とは違いますが、漢方治療では通常の喘息と同じように乾燥型か湿潤型かに分けて取り組んでいきます。

 

咳喘息は布団に入ってから急に咳が酷くなり寝付けなくなるケースや、普段は比較的落ち着いているのに一度咳き込み出すと続けて咳が出てなかなか治まらないケースが多いように思います。

 

このような「咳喘息」に対しては、漢方薬が非常に高い効果を発揮する事が多く、1~2週間ほどの服用で症状が消失する事を多く経験しています。

「咳喘息」でお困りの方はご相談下さい。

心因性咳嗽

呼吸器官に異常が無いにも関わらず、咳が続く場合は「心因性咳嗽」の可能性があります。
心因性の咳は、ストレスの影響により気道が刺激されて咳が起きると考えられています。

 

風邪をひいたわけでもないのに、日常的に乾いた咳が続いてしまい、特に緊張した時やストレスがかかる状態で起きる傾向にあります。
逆に仕事や学校が終わって、家でくつろいでいる夜には咳は殆ど出ません。

 

・緊張やストレスで咳が誘発される
・リラックスしている時や、好きなことに集中している時は、咳が出ない。
・痰を伴わない乾いた「空せき」

 

以上の条件がそろっていると「心因性咳嗽」の可能性があります。
病院での治療は難しいといわれていますが、漢方薬では対応出来る事も多く、症状の改善、根治も可能だと考えられます。

喘息の養生

喘息の養生法は乾燥型と湿潤型により違ってきます。
痰の色が濃くなかなか切れない乾燥型の喘息は、潤す作用のある果物や海藻類などを多く摂ることで改善が早くなり、逆に痰の量が多く色が薄い、喘鳴症状などある湿潤型は水分の摂り過ぎや果物の食べ過ぎを控える事で改善が早くなります。
同じ喘息でも原因によって養生法が違ってきます。

咳・喘息の症例

症例1 40代前半・女性
普段から咳や痰が出る事が多く、風邪を引くと著しく症状が悪化してしまうとのご相談です。

病院では気管支拡張症と診断されています。

咳に対する漢方薬の服用を始めると、少しずつ日常生活における咳や痰が出る頻度は少なくなり、半年後には風邪を引いても今までのように大きく悪化することはありませんでした。

漢方薬の服用を続けて1年半後には、酷い夏風邪を引いてしまい高熱、全身の蕁麻疹に悩まされましたが、咳は少しも出なかったとの事です。その後も再発防止を兼ねて漢方薬の服用を続けています。

 

症例2 40代前半・男性
5日ぐらい前から急に1日中、咳や痰が出るようになったとのご相談です。
特に布団に入ると咳が酷くなるため、寝つきにくくなってしまったとの事です。

ちょうど空気が乾燥している時期ということもあり、肺や気管支の乾燥による咳のようです。

潤す作用のある漢方薬をお出ししたところ、2日後には咳や痰が出なくなりました。
症状が落ち着いてもすぐに止めるとぶり返してしまうことが多いため、7日分を飲み切って頂き終了としました。

この方の漢方薬代金 1日あたり400円

 

症例3 80代前半・女性
毎年春先に喘息症状が出てしまうとご相談がありました。
今年も少し前から咳や痰が酷くなり、夜も眠れないご様子です。

夜間の悪化、少量の黄色い痰などから潤す作用のある漢方薬と気管支の緊張を緩める漢方薬の組み合わせをお出ししました。

1週間の服用で眠れるようになり、さらに2週間服用して症状が落ち着いたため漢方薬を終了としました。

この方の漢方薬代金 1日あたり500円

 

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