陰部の痒み(陰部掻痒症)と漢方薬
陰部の痒み(陰部掻痒症)は、性別や年齢を問わず起こる症状です。発疹を伴う場合もあれば、目立った発疹がみられない場合もあります。
発疹がある場合は、白癬菌(はくせんきん)やカンジダ菌などのカビの感染、尖圭(せんけい)コンジローマなどのウイルス感染が原因のことがあり、そのような場合は皮膚科の治療で改善します。
発疹があっても菌感染などがない場合、痒み止めやステロイド軟膏などで一時的には良くなっても、塗るのをやめるとまたぶり返すことを繰り返すケースがあります。
また、患部に軽い赤みがみられる程度で、目立った発疹がないにもかかわらず、しつこい痒みに悩まされるということもあります。
塗り薬でなかなか良くならない痒みでも、漢方薬で内側から改善できることがあります。
東洋医学での陰部の痒みの主な原因
湿熱による陰部の痒み
湿熱とは、体内に余分な水分(湿)と熱がこもった状態を指します。甘いお菓子やジュース類、脂っこい食事、果物の摂り過ぎなどは悪化要因になると考えられています。
皮膚に強い赤みやかゆみ、腫れ、ジュクジュクした滲出液などを伴うことがあります。
消風散(しょうふうさん)、竜胆瀉肝湯(りゅうたんしゃかんとう)、越婢加朮湯(えっぴかじゅつとう)、防風通聖散(ぼうふうつうしょうさん)などが適応になることが多いです。
燥熱による陰部の痒み
燥熱とは、体内の潤いが不足して「乾燥した状態(燥)」と「熱がこもった状態(熱)」が合わさった病態を指します。年齢を重ねると人間の身体は乾燥に傾くため、高齢の方に多く見られる傾向があります。空気が乾燥する冬場に悪化しやすい特徴があります。
温清飲(うんせいいん)、当帰飲子(とうきいんし)、六味丸(ろくみがん)など、潤す作用が含まれる漢方薬が適応になることが多いです。
瘀血による陰部の痒み
瘀血とは東洋医学の概念の一つで、血液の巡りが滞った状態を指します。東洋医学では「古血(ふるち)」とも表現されます。
老廃物や不要物が蓄積した状態ともいえます。古血は身体の下部に溜まりやすい傾向があるため、陰部の痒みの要因になっていることも多いです。
桂枝茯苓丸(けいしぶくりょうがん)、桃核承気湯(とうかくじょうきとう)、通導散(つうどうさん)などが適応になることが多いです。
上記以外にも、さまざまな要因が考えられます。大切なのは、東洋医学で考える根本的な原因(寒熱、気血水の偏在)に適した漢方薬を服用することです。
当店では糸練功(しれんこう/筋力反射テスト)という特殊な技術を用い、一人ひとりのお身体の状態に適した漢方薬をご提案できるように取り組んでいます。
陰部の痒みの漢方改善症例
【症例1】50代・女性
2年前から鼠蹊部(そけいぶ)、陰部を中心とした痒みが続いているため、漢方薬の相談に来店されました。いくつか皮膚科を受診しましたが原因がはっきりせず、痒みにも改善がみられていません。
半年ほど前からさらに症状が悪化し、毎日痒みに悩まされています。特に入浴や就寝時など身体が温まるときに痒みが強まるため、夜中に痒みで目が覚めることも多いようです。
体質的な傾向、症状の出方、糸練功の反応から2種類の漢方薬と「緑翠泉(青汁製剤)」を併用していただくことにしました。
服用開始から1カ月後
漢方薬を飲み始めると、痒みが気にならない日が少し出てきました。調子の良い日と今まで通りの痒みの強い日が、数日おきに繰り返すようです。
2カ月後
痒みが気にならない日が増えて、就寝時に痒みで目が覚めることはなくなりました。入浴時の痒みはまだありますが、日中も痒みを意識することがほとんど無くなりました。
3カ月後
痒みが起きることはほとんど無くなりました。掻き過ぎたためか硬くなっていた皮膚も、だいぶ元の状態に戻ってきました。
4カ月後
痒みが気になることは無くなりました。
漢方薬代金:初診時の漢方薬 1日あたり550円(税込)/緑翠泉 230円(税込)
【症例2】60代・男性
4年ほど前から陰茎のヒリヒリ感や痒み、陰嚢(いんのう)の擦れるような痒みに悩まされています。5~6カ所の皮膚科を受診しましたが真菌や細菌などの感染は認められず、処方されたステロイド軟膏を塗ると落ち着くものの、使用をやめるとまたぶり返すことを繰り返してきました。デリケートな部位だけに、長くステロイド軟膏を使い続けることに抵抗もあるようです。
他の漢方クリニックで瘀血(おけつ)と診断され、1年半近く漢方薬の服用を続けましたが、症状に改善はみられなかったとのことです。そのため当店では、湿熱に対して改善作用のある漢方薬をベースにしてお出ししました。
漢方薬を飲み始めて3カ月後には痒みが起きる頻度や強さが減り、痒みの範囲も小さくなりました。ステロイド軟膏を塗る必要もなくなりました。ただし、一番初めに痒くなり始めた部位がなかなか治りきりません。 何度か漢方薬の組み合わせを調整しましたが、2カ月ほど同じような状態が続きました。
あらためて検討し直し、補腎(ほじん)作用のある漢方薬に変更すると、停滞していた痒みの改善が進み始め、6週間後には痒みが気になることは無くなりました。
漢方薬代金:1日あたり440~660円(税込)
【症例3】60代・女性
数年前から陰部の痒みに悩まされていました。 もともと皮膚が弱く、腰や肩回りなどにも痒みや湿疹が起こりやすい体質のようです。痒みが強いため、1日に何度もシャワーを浴びて紛らわしていました。
漢方薬をお出しして2週間後には、痒みが軽減してシャワーを浴びる回数も減ってきたと喜んでいただいたのですが、1カ月後にはまた痒みがぶり返してしまいました。もう1カ月ほど続けていただき様子を見ましたが、やはり痒みは強いままです。
あらためて漢方薬を検討し直して変更すると、再び痒みが軽減し始めて、1カ月後にはシャワーを浴びる回数も1回程度で済むようになりました。3カ月後には、陰部の痒みを感じることはほとんど無くなりました。
漢方薬代金:1日あたり440円(税込)
陰部の痒み(陰部掻痒症)は、カビやウイルスなどの感染症が原因となることがあります。そのため、まずは皮膚科を受診し、適切な検査や治療を受けることが大切です。
一方で、検査を受けても原因がはっきりしない場合や、外用薬で改善しない、再発を繰り返すといったケースでは、漢方薬による東洋医学での原因部分からの改善が役立つ場合があります。
当店では、お一人おひとりの体質や症状に合わせた漢方相談を行っています。陰部の痒みでお困りの方はご相談ください。
直接ご来店いただくのが望ましいですが、遠方にお住まいの方や、ご事情により来店が難しい方にも対応しています。
まずは電話(0598-30-6525)またはメールでご連絡ください。


