うつ病、抑うつ感と漢方薬

心の病や自律神経のバランスの乱れ

東洋医学の世界では古くから心と身体を分けて考えず、両者には深い関係性があるものと考え「心身医学」に取り組んできた歴史があります。

うつ病などの心のバランスを崩した状態では、心だけでなく多くの場合、身体症状が伴います。

 

主な症状としては、疲労・倦怠感、食欲不振、動悸、めまい、頭重感、手足のしびれ、吐き気、発汗、喉の詰まり、頻尿などがあげられます。

 

また寝付けない、途中で目が覚める、眠りが浅く寝た気がしないなどの不眠症状や、きちんと寝たはずなのに朝からの疲労感として現れることもあります。
精神面では、気分の落ち込みや抑うつ感に加えて、思考力の低下や意欲の低下が伴うこともあります。

 

漢方治療では、一人ひとりの体質と現れている身体症状から、東洋医学の観点で病気の根本原因を考え、改善に取り組んでいきます。

漢方薬の効果が出てくると少しずつ身体的な症状が和らぎ、意識する事が無くなってくると思います。そして心もバランスを崩す以前の、本来の状態へと戻っていくと思います。

 

漢方薬は、古くからうつ病や自律神経失調症などに取り組んできた歴史があります。
現在うつ病で通院中の方、病院にかかる程では無くても気持ちが塞ぎ込む、気力が出ない、倦怠感が続くという方はご相談下さい。

 

〇病院で出されている薬は、すぐに止めない事が大切です。

 

漢方治療をお考えの方の中には、すでに抗うつ剤や抗不安薬などを飲んでいる方も多いと思います。漢方薬での治療を始めたからといって、急に病院の薬を止めることはとても危険です。

 

病院の薬を一定期間服用していると、薬を飲んだ状態で心身のバランスをとっていることになります。突然薬の服用を中止すると、急に身体の支えが無くなるようなもので、とても不安定な状態におちいる危険性があります。

 

漢方薬の効果が現れてくると、少しずつ様々な症状が改善してきます。充分に精神面も身体的な症状も改善した後に、主治医の先生と相談して段階的に薬の種類や量を減らしていくようにしましょう。

 

漢方薬は東洋医学での原因部分を改善することで、病気の根治・再発防止が可能です。ただし改善は緩やかに進みます。焦らずに取り組んでいきましょう。

 

また漢方薬だけではなく、患者さん毎に適した養生法をお伝えすることで、普段の生活の中から改善していけるお手伝いが出来ればと考えています。

うつ症状の症例

【症例1】30代・女性

主な症状:憂鬱感、倦怠感、無気力、不安感、不眠症
10年以上前から上記症状に悩まされていました。体質的な傾向や症状の出方、糸練功(しれんこう 筋力反射テスト)の反応から、気滞を改善する漢方薬をお出ししました。

 

漢方薬の服用を始めると、それまでに比べて少しずつ調子が上向いてきました。特に憂鬱感や不安感が薄らぎ、ご近所の方からも「顔色が良くなったね」と言われるようになったそうです。
そのまま5カ月ほど服用を続けていただいたところ、全体的な調子は良いものの、、生理前を中心に症状が安定しません。

 

そこで、血の巡りの滞りである「瘀血(おけつ)」に対する漢方薬もあわせて併用していただきました。その結果、今までにない調子の良さを感じたようでした。寝起きの際の倦怠感などが大幅に薄れ、調子が良くなったことで、今まで自分がどんなに体調が悪かったか分かったと喜んでいただきました。

 

【症例2】70代・女性

主な症状:意欲の低下、気分の落ち込み、ため息、ぼーっとする

最近急にやる気がなくなり、ため息ばかり出るようになりました。気持ちがうつうつとして、ぼーっとする事が増えてきました。
ご家族の方に訴えても、あまり理解を示して貰えないようでした。

 

ご本人は「老人性うつ病」ではないかと心配をされていました。
気の巡りを良くする漢方薬をお出ししたところ、服用から1週間後には調子が上向いてきました。

 

以前のように「料理や掃除をしよう」という意欲が湧いてきて、気分も明るくなったとのことです。
この方の場合は、症状が出始めてからすぐに漢方薬を飲み始めたため、、改善が早かったと思われます。

 

【症例3】60代・男性

主な症状:頭や手足のしびれ、抑うつ感、不安感、焦燥感

2年前から頭がしびれるような感覚があり、それに伴う抑うつ感や不安感、焦燥感などに悩まされていました。
少し前から、手足にもしびれが現れるようになったようです。

 

脳の検査では異常が見つからず、病院からは抗うつ剤を処方されていました。

 

中焦の清熱作用のある漢方薬と補助剤をお出ししました。
また清熱作用のある緑の野菜を多めに食べるようにお伝えしました。

 

漢方薬の服用を始めて1カ月後には、手足のしびれが消失しました。

 

3カ月後には、抑うつ感や不安感も少しずつ軽減を始めました。頭のしびれも半分ぐらいにまで減ってきました。体調が良いので、食欲も出てきたようです。

 

4ヶ月後には、頭のしびれを感じる事はなくなりました。
また理由もなく朝から気持ちがうつうつとする事も殆ど起きなくなりました。

 

その他の自律神経疾患の症例はこちら

うつ病、抑うつ感に使われることの多い漢方薬

・四逆散
・抑肝散
・釣藤散
・柴胡疎肝散
・柴胡加竜骨牡蠣湯
・逍遥散
・加味逍遥散
・香蘇散
・半夏厚朴湯
・桂枝加竜骨牡蠣湯
・帰脾湯
・加味帰脾湯
・桃核承気湯
・女神散など

うつ病、抑うつ感に対して、誰にでも効く万能薬というのはありません。
同じようなうつ症状でも、改善に必要な漢方薬は一人ひとり異なります。
そのためにどの漢方薬が適しているのか、問診などから体質や身体症状を把握する事が大切です。

うつ病、抑うつ感に対する東洋医学的な原因

・血熱(けつねつ)タイプ
とても真面目で、仕事などにも真剣に取り組む方に多い傾向があります。
責任感があり、何事にも一生懸命に取り組むために、知らず知らずのうちにストレスを溜めてしまいます。
「柴胡」という生薬が含まれる漢方薬で改善することが多いです。

 

・気の巡りの低下タイプ
比較的若い女性や初老期などの、うつ症状の初期にみられるタイプです。
気をうまく発散できないために抑うつ感が現れます。
気を巡らせ、発散させる作用のある漢方薬で改善することが多いです。

 

・気滞(きたい)タイプ
性格的に繊細で、感受性豊かな方に多い傾向があります。
西洋薬で副作用が出易いという特徴があります。
気滞(気の巡りの滞り)を解消する漢方薬で改善する事が多いです。

気滞の強さや深さによって効果のある漢方薬は異なります。

 

・瘀血(おけつ)タイプ
血流が低下したり、古血をうまく排出できなかったりするタイプです。
女性の場合は、生理前に特に調子が悪くなったり、更年期に症状が出易い傾向にあります。
駆瘀血剤(くおけつざい)と呼ばれる、血流を改善する漢方薬で改善することが多いです。

 

・脾虚(ひきょ)タイプ
体質的に胃腸が虚弱で疲れ易い、ちょっとしたことでもクヨクヨしてしまいがちなタイプです。
元気を補う「補気(ほき)」作用のある漢方薬で改善することが多いです。

 

漢方薬の良いところの一つは、依存性が無いところです。
そのため長期間服用しても癖になるということはありません。また漢方薬の服用を中止する際も、向精神薬のような離脱症状が起きる心配はありません。

また、西洋薬に見られるような副作用が起きる可能性も極めて低いと言えます。

 

まだ抗うつ剤や抗不安薬を服用していない方は、まずは漢方薬をお試しいただければと思います。
またすでに病院で処方された薬を服用している方は、漢方薬を通じて症状の改善、薬の減量、中止を目標に取り組んでいければと思います。

うつ病、抑うつ感にお困りの方はご連絡下さい。

 

直接ご来店頂くのが一番望ましいのですが、遠方や外出が難しい事情がある方への対応もしています。
まずは電話(0598-30-6525)かメールでご連絡下さい。