慢性扁桃炎に漢方薬

慢性扁桃炎とは

扁桃炎は、喉の奥に位置する扁桃腺が炎症を起こした状態です。
扁桃腺はウイルスや細菌が体内に侵入するのを防ぐ役割を果たしていますが、免疫力が弱っていたり、体力が落ちていると防御機能が弱まり扁桃腺自体が感染、炎症を引き起こします。

 

慢性扁桃炎は、この扁桃腺の炎症を繰り返すものをいいます。
慢性扁桃炎は、持続的な症状が生じる慢性単純性扁桃炎と、発症と回復を繰り返す習慣性扁桃炎に分けられます。

 

〇慢性単純性扁桃炎
持続的な喉の乾燥や違和感、痛み、微熱などを生じます。小児ではほとんどみられず、多くは成人で発症します。

 

〇習慣性扁桃炎
1年間に数回、急性扁桃炎を繰り返し発症するものです。発症するたびに強い喉の痛みや高熱などを生じます。小児で発症することが多く、大半は10代のうちに自然に軽快します。

慢性扁桃炎の原因

扁桃炎を引き起こす直接の原因は、扁桃に対する細菌・ウイルス感染です。
本来は扁桃は免疫の働きを担っており、細菌・ウイルスなどの体内への侵入・増殖を防いでいますが、免疫力が低下すると病原体の感染力に負けて発症します。

 

扁桃炎を繰り返す、または持続的な炎症が続くという事は、免疫力が正常に働いていない可能性があります。免疫力の低下は、過度の疲労やストレスの蓄積、生活習慣の乱れ、身体の冷え、栄養の不足などが考えられます。

 

また東洋医学には、生まれつき体質的に化膿、炎症を起こし易い解毒証体質という体質的な見方もあります。

慢性扁桃炎に対する漢方薬

扁桃炎を繰り返さないための体質改善を目的に漢方薬を選びます。

 

漢方の大家、森道伯先生(1867~1931)が体系化した一貫堂医学の体質分類に解毒証体質というものがあります。

 

解毒証体質とは、生まれつき化膿性炎症を起こし易い体質の事です。
解毒証体質者には、荊芥連翹湯や柴胡清肝湯を用いる事が多いです。
荊芥連翹湯や柴胡清肝湯は、皮膚の色が浅黒く乾燥しているタイプに良く効く事が多いですが、時には色白の方でも合う事があります。

 

また柴胡黄苓という抗炎症作用を有する生薬が含まれる、大柴胡湯や小柴胡湯、柴胡桂枝湯など柴胡剤と呼ばれる漢方薬を用いる事もあります。

 

体力の無さなど身体の弱さが目立つ場合は、補中益気湯や黄耆建中湯などの身体を元気にする作用の漢方薬が必要な事もあります。

 

急性期や炎症が目立つ場合には銀翹散や桔梗湯、桔梗石膏エキスなど、抗炎症作用の漢方薬を用いる事もあります。

 

上記以外にも駆風解毒湯や排膿散及湯、荊防敗毒散、十味敗毒散など様々な漢方薬があります。

漢方治療において大切な事は、その方の体質や症状に合った漢方薬を用いる事です。

 

改善症例

〇20代・男性

 

5年前に風邪をひいた事がきっかけで、慢性的に喉の違和感、不快感、乾燥感があり、年に数回風邪を引くたびに扁桃炎を繰り返しています。
病院では「慢性扁桃炎」と診断されており、風邪をひいた時には抗生物質を処方されています。

いつまでも症状が続くため、根本的な改善をしたいと漢方薬のご相談がありました。

 

症状の出方や体質的な傾向から柴胡剤と呼ばれる漢方薬と滋潤作用のある漢方薬を組み合わせてお出ししました。
漢方薬の服用を始めると、症状の増減はありましたが少しずつ喉の不快感や乾燥感に軽減がみられました。風邪もひきにくくなったようです。

 

服用を始めて半年が過ぎた頃には、漢方薬の服用前に比べて喉の違和感は2~3割程度の軽減しました。

 

冬場に入り身体が冷えた時に、風邪をひき、そこからまた少しですが喉の調子に低下がみられました。身体が冷えると調子が悪くなる傾向があるようです。

 

漢方薬を温める作用のあるものに変更すると、少し残っていた違和感も完全に気にならなくなったようです。

 

その後も調子の良い状態が3カ月程続いたため、漢方薬の服用を終了する事が出来ました。

 

この方の漢方薬代金 1日あたり600円(税別)

 

慢性扁桃炎は漢方薬で体質から改善出来る事があります。
お困りの方はご相談下さい。

 

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