強迫性障害とは
強迫性障害とは、自分でもおかしいと分かっていても、その事が頭から離れない。分かっていても何度も同じ確認、行為を繰り返してしまうため日常生活に支障が出てしまう病気のことです。
強迫性障害には「強迫観念」と「強迫行為」の2つの症状があります。
強迫観念とは、自分の意思に反して嫌なイメージや思考などが何度も繰り返し感じられるもので、強い不安や嫌な思いを伴います。
強迫行為とは、強迫観念による不安を打ち消すために、同じ行為を繰り返してしまうことです。例えば不潔に思えて過剰に手を洗う、戸締りを何度も確認せずにはいられないなどです。
自分でもそんな事はおかしいと分かっていても止める事が出来ないのが特徴です。
〇強迫性障害の原因
脳内の神経伝達物質であるセロトニンの働きに異変が生じることが関係しているとの考えもありますが、明確な原因は分かっていません。
性格的には責任感が強く、まじめな人がなりやすい傾向があると言われています。
〇強迫性障害に対する漢方治療
東洋医学で五志の憂と表現される「自律神経のバランスの乱れ」に対する漢方薬で、強迫性障害に関わる症状が改善される事を経験しています。
また当店では同じ強迫性障害という診断名でも、性格的な傾向や症状の出方、特徴などによって一人ひとりに合わせた漢方薬をご提案しています。
使われる事の多い漢方薬
〇苓桂朮甘湯
〇桂枝加竜骨牡蠣湯
〇桃核承気湯
〇加味逍遥散
〇逍遥散
〇柴胡加竜骨牡蛎湯
〇四逆散
〇抑肝散
〇柴胡疎肝散
〇釣藤散
〇柴胡桂枝湯
〇甘麦大棗湯など
また症状によって漢方薬と様々な補助剤などを組み合わせて改善に取り組んでいます。
強迫性障害の症例
〇70代・女性(不潔恐怖)
トイレに行く度に髪の毛や手に尿がついたような気がして、毎回お風呂で洗わないと落ち着かないという症状でご相談に来店されました。
精神神経科も受診されており、複数の抗うつ剤や安定剤などを服用しています。
また症状が出だした頃から気力の低下があり、やる気が失われてしまったようです。
睡眠導入剤を服用していますが寝付きが悪く、便秘にも悩まされています。
血流を改善する漢方薬と心身の緊張を緩める漢方薬と補助剤をお出ししました。
漢方薬の服用を始めて1カ月後
寝付きが良くなり、睡眠導入剤を飲まなくても良く眠れるようになりました。
ただしトイレの後に汚れが気になる症状には変化はありません。
漢方薬を瘀血(古血の停滞)の改善作用のあるものに変更しました。
2カ月後
睡眠状態は良く、便通も安定してきました。
排尿後に髪の毛の汚れが気になるのは変わりませんが、手の汚れはあまり意識しなくなったようです。補助剤を別のものに変更しました。
3カ月後
これまではトイレに入ると必ず気になっていたのが、ポツポツと少ないながら気にならない時が出てきました。
特に最近の1週間では4~5日続けて気にならない事が続いたようです。
4カ月後
この1か月間はトイレに入った後で、髪の毛の汚れが気になる事が殆ど無くなりました。
今まではトイレに行くのが嫌でしたが、気持ちよく行けるようになったようです。
5カ月後
調子が良いので3種類出されていた抗うつ剤、安定剤を半分の量に減らしたようです。
6カ月後
抗うつ剤、安定剤など3種類の服用を止めましたが、変わらず調子は良いようです。
漢方薬の量も少しずつ減らしだしました。
7カ月後
漢方薬の量を三分の一に減らしましたが、変わらず調子は良いようです。
トイレの後で気になる事も無いため、漢方治療を終了する事が出来ました。
この方の漢方薬代金 1日あたり600円(税別)
〇小学生(儀式行為、確認行為)
半年程前に排便の際のちょっとしたきっかけから、トイレや入浴、手洗いの際に確認行為や儀式行為を行わずにはいられなくなりました。
病院では「強迫性障害」と診断を受け、フルボキサミンを処方されています。
トイレや手洗い、入浴のたびに色々な決められた手順を踏む儀式行為があり、またきちんと綺麗になっているかの確認行為もあるため、とても時間が掛かかってしまいます。学校の集団登校にも間に合わない事が多くなりました。また元々怒りっぽいところはありましたが、癇癪を起す事も増えているようです。
心身の緊張を緩める漢方薬と補助剤として葉緑素製剤、牡蠣肉製剤をお出ししました。
漢方薬を飲み始めて1カ月後
手洗いに伴う儀式行為や確認行為が少し短くなったようです。
そのため集団登校に間に合う日が増えてきました。
2カ月後
前回からは大きな変化はみられません。
少し時間は短くなったものの、やはり確認行為や儀式行為は続いています。
心身の緊張を緩める漢方薬を、同じ系統ではありますが別の漢方薬に変更しました。
3カ月後
手を洗う時間がずいぶんと短くなってきました。
まだ手洗いや入浴の際には決められた手順があり、邪魔をされると怒りますが、ずいぶんと簡略化されてきたようです。
3カ月半後
ここ最近はイライラが減っているようです。
「別に手順を踏まなくても手を洗える」と前向きな発言がありました。
4カ月後
前回から入浴やトイレ、手洗いの際の儀式行為も確認行為も無くなりました。調子を崩す前に戻ったようです。
5か月後
引き続き問題の無い状態が続いています。
それ以降は来店が途絶えてしまいましたので、その後の事は分かりませんが、漢方薬で調子を崩す前の状態に戻るお手伝いが出来たように思います。
この方の漢方薬代金 1日あたり600円(税別)
〇30代・女性(不潔恐怖)
大学生の頃から、自分の部屋の外の物に対して不潔に感じるようになりました。
手洗いの回数が増えるなど、生活する上で不便さはありましたが、そこまで大きな支障が出る程では無かったようです。
コロナが流行り出して外出する機会が減ると、かえって外に出た際に不潔感を強く感じるようになってしまいました。
手洗いの回数や時間が長くなり、自分の洋服が汚れているように感じ、何度も洗濯をしないと落ち着かなくなりました。
精神的な疲労も大きくなり、日常生活への支障も出てきたため診療内科を予約していますが、予約が一杯なため1ヵ月後まで受診出来ないようです。
それまでに少しでも症状が軽くなればと漢方薬のご相談を受けました。
気持ちを落ち着ける作用が含まれる漢方薬と気の巡りを改善する作用のある漢方薬の2種類をお出ししました。
漢方薬を飲み始めて3週間後
漢方薬を飲み始めると少しずつ汚れに対する意識が軽くなってきたようです。
これまでは外出する際にも気力が必要でしたが、漢方相談に来店する際もすんなりと外出出来ました。
6週間後
汚れに対する嫌悪感が軽減して、気持ち的にだいぶ楽になったようです。
調子を崩してから触れられなくなっていたものも大丈夫になってきました。
心療内科を予定通り受診しましたが、調子が落ち着いてきている事もあり、薬の服用は無しで様子を見る事になったようです。
気持ちに少し余裕が出てきたため、汚いと思ってもあえて触って我慢するという認知行動療法(曝露反応妨害法)をご自身で始められました。
4ヶ月後
汚れに対して考える時間がだいぶ減り、コロナで調子を崩す前の状態に戻ったようです。
自分でもおかしいと思いつつ、何度も洗濯をするような事も無くなりました。
9ヶ月後
その後も安定した状態が続いているため、ご本人の希望もあり漢方薬の服用を終了としました。
汚れに対する意識が無くなったわけではありませんが、日常生活への支障は大幅に減り、精神的にもだいぶ楽になったご様子です。
この方の漢方薬代金 1日あたり600円(税別)
〇20代・女性(強迫観念、加害恐怖)
大学卒業後、就職してから少しずつ症状が現れるようになり、2年程前から悪化するようになりました。
極度の心配をするようになり、不安が強く何度も確認してしまいます。心配な事は頭から離れず、ずっと考えてしまいます。
メンタルクリニックでは「強迫観念」と診断をされていますが、副作用の心配から薬の服用はしていません。漢方薬での改善を希望してご相談に来店されました。
主な症状として
〇通勤で使う駅のホームなどで、すれ違う人に怪我をさせてしまうのではないかと不安になる。
〇仕事上のミスが無いか不安になり、動悸や手汗、手のふるえ、のぼせなどが起きる。何度も何度も確認してその後も不安が続く。
〇特定の部屋の電気のスイッチや電気ポットのボタンが押せない。ガスコンロが使えないなど生活上の支障が多岐に渡ります。
また食欲が無くなり、体重も減ってしまいました。
漢方薬を飲み始めると少しずつですが、不安や心配が減ってきました。
服用を始めて半年後には、以前なら気になっていた事でも、そういえば大丈夫だったなという事が増えてきました。食欲が増えて、気持ち的にも楽になってきたようです。
8ヵ月後には普通の道はもちろん、駅のホームでもそれほど気にならず歩けるようになりました。
9ヶ月後には、苦手な部屋の電気のスイッチや電気ポットのスイッチも押せるようになりました。
仕事のミスが無いか不安になる事はたまにはありますが、動悸や手汗、手のふるえ、のぼせなどは無く、以前に比べると早く落ち着くようになりました。
いつまでも大丈夫だったかなと考え続ける事も無くなりました。
その後は2週間に1~2回程の頻度で仕事の時にミスが無いか少し不安になる事はあるものの、そこまで症状は強くなく、落ち着いて対処出来るようになりました。
不安感から出来ない事もだいぶ減り、生活上の支障も大幅に減ったため、ご本人の希望もあり漢方薬の服用を終了しました。
この方の漢方薬代金 1日あたり600円(税別)
その他の自律神経失調症に対する症例はこちらをご覧ください。
病名にとらわれずに、症状や体質的な傾向から改善に取り組む事が出来るのも漢方薬の長所の一つです。そのため病院で強迫性障害と診断されたわけでは無くても、強迫観念や強迫行為のような症状でお悩みのご相談に対しても漢方薬のご提案をしています。
直接ご来店頂くのが一番望ましいのですが、遠方や事情で来店が難しい方にも対応しています。
まずは電話(0598-30-6525)かメールでご連絡下さい。