慢性心不全とは
慢性心不全とは、病名では無く様々な原因により心臓の血液拍出量が不十分であり、全身が必要とするだけの拍出量を保てない状態の事を指します。
拡張型心筋症や心臓弁膜症が原因となるケースもありますが、高血圧で長年心臓に負担が掛かっている場合なども慢性心不全の原因となります。
近年では高齢化に加えて、肥満・高血圧などから狭心症や心筋梗塞、心不全などの心臓のトラブルが増えています。
慢性心不全の症状
心臓から全身に充分な血液を送り出せない為に、身体に必要な栄養や酸素が行き渡らず疲れ易さや倦怠感が起こります。
また全身から心臓に戻る血流が低下する事で下肢が浮腫み、悪化すると肝腫大や腹水といった症状が現れる事もあります。
肺に水が溜まる肺水腫になると、息切れや息苦しさ、咳などの心臓性喘息となってしまいます。
心臓性喘息の特徴は、横になると症状が悪化する事です。そのため少しでも楽な姿勢をとるために、柱にもたれかかって座ったまま寝る方もいます。
心不全に対する指標となるのがBNP値(脳性ナトリウム利尿ペプチド)です。
BNPには、利尿作用や血管拡張作用、交感神経抑制作用などがあり心筋を保護するように働きます。
心臓の負担が増えたり心筋の肥大がおこると増加しますが、数値の変動が大きく、自覚症状が出る前から血中濃度が上昇しますので、心機能低下の早期発見にも有用であると考えられています。
慢性心不全の漢方治療
急性心筋梗塞などで急速に症状が進行する急性心不全の場合は、一刻も早く病院に行き適切な処置を受ける必要がありますが、慢性心不全は漢方治療の適用になります。
心不全症状に対して漢方薬では、心臓の働きを高め、利水作用のあるものが使われる事が多いです。
病院の薬の利尿剤は、無理やり身体から水分を排出する薬なので、誰が飲んでも尿量が増えます。そのため色々と身体に負担が掛かる事もあります。その点漢方薬の利水剤は、無理なく余分な水のみを排出するという優れた働きがあります。
また駆瘀血剤という血流を良くする漢方薬を併用する事で、更に心臓への負担を軽減します。
高齢の慢性心不全の方でも漢方治療と生活習慣を正す事で、心機能の働きを良くして、急性心不全を起こすリスクを軽減し、心不全に伴う症状に煩わされる事無く生活を送る事が出来る方も多くいます。