男性不妊とは
現代では環境ホルモンやストレス、不規則な生活や偏食などの様々な要因によって精子数の減少や運動率の低下、奇形率が上昇傾向にあるといわれています。
昔は不妊症というと女性の問題と捉えられがちでしたが、不妊症の原因の約24%には男性側に問題があり、男女ともに問題があるとされる24%も合わせると48%に男性側の問題もあると報告されています。
受精するためには精子の量や運動率などはとても大切な要因となるので、なかなか妊娠に至らない場合は男性側もきちんと検査を受ける必要があります。
男性の1回で射精される精液の量は3~5ccといわれ、精液1ccの中に6000万~1億の精子が含まれますが、1ccに4000万以下だと漢方薬などによる何らかの改善が必要とされます。
またED(勃起不全)の問題もあります。機能的な問題(ストレスや陰茎の血流)によるEDは、漢方薬での改善が可能だと考えられます。
男性不妊の漢方治療
精子の量・運動率の低下に対して
精子の量や運動率の低下には、思いのほかストレスの影響が大きくかかわっている事があります。
検査のたびに結果が良かったり悪かったりする場合は、ストレスを改善する漢方薬を用います。伝統的にストレスと精力とのかかわりが深い場合に使われてきた漢方薬です。
この場合は、意外と早く検査結果が良い状態で安定する事が多いです。
補助剤として使用する牡蠣肉製剤は、漢方薬の効果を高めて、また肉体的な疲労も改善する作用があります。
もう一つ大きな原因として東洋医学でいう「腎虚」の改善が必要なケースもあります。腎虚とは、もって生まれた生命力の強さ、精力の強さを含む概念です。
こちらはストレスがかかわるタイプよりは少し改善に時間がかかる傾向がありますが、腎虚を改善する漢方薬で順調に改善をする事が多いです。
無精子症について
無精子症とは精液中に精子が全く無い状態の事です。
無精子症の8割は非閉塞性無精子症といわれる、精巣内で精子が全くもしくはほとんど作られていない状態です。
少ないながら少しでも精子が認められる場合は、漢方薬で増やしていける可能性はあると思います。
ただし完全に精子が無い状態だと、可能性はゼロでは無いとしても極めて難しいと思います。
ED(勃起不全)に対して
ED(勃起不全)の場合は、血流に問題があるケースは血流を改善する駆瘀血剤を用います。
精神的なストレスが大きい場合は、五志の憂(自律神経の乱れ)を中心に取り組みます。
養生法はそれぞれの東洋医学的な原因によって異なりますが、女性の不妊症よりも順調に改善するケースが多いです。
男性不妊の症例
精子の運動率の低下 30代後半・男性
不妊治療を夫婦でしているが、精子の運動率が基準値よりも低いとご相談がありました。
運動率の低下には、東洋医学では腎虚といわれる病態とストレスや疲労が原因のものとがあります。
この方はストレス、疲労による影響が大きいように思われました。
漢方薬と補助剤として牡蠣肉エキスをお出ししたところ、1カ月後の検査では基準値内に改善しました。
この方の漢方薬代金 1日あたり 漢方薬 300円 牡蠣肉エキス錠 300円(税別)