過活動膀胱とは

過活動膀胱とは、膀胱の不随意(自分の意志に反した)の収縮による尿意切迫感を伴う排尿障害です。

急に強い尿意をもよおし我慢が出来なかったり(切迫性尿失禁)、非常にトイレが近くなり、何度もトイレに行かなくてはならないといった症状があります。
また昼間は大丈夫でも、夜間に何度も目が覚めてトイレに行くため、充分な睡眠を得られないというケースもあります(夜間頻尿)。

人によっては、咳をしたり、腹部に力が入ったりするだけで、尿が漏れてしまう事もあります。

脳や脊髄の損傷や、男性の場合は前立腺肥大が原因になることがありますが、検査をしても原因がはっきりしない事も多いです。

過活動膀胱の症状(過活動膀胱ガイドラインより)

○尿意切迫感・・急に尿意が起こり、我慢する事が難しい

○頻尿・・1日に8回以上排尿がある

○夜間頻尿・・就寝中、排尿のために1回以上起きる

○切迫性尿失禁・・尿意と同時に起こる尿もれがある

過活動膀胱の漢方治療

自律神経症状としての過活動膀胱

漢方治療では、自律神経のバランスを整える事で、過活動性膀胱が改善するケースがあります。
竜骨という生薬が使われている漢方薬を、使用することが比較的多いです。
多くの場合はこれらの漢方薬を単独では無く、体質や症状に合った別の漢方薬と組み合わせて併用しています。

排尿の仕組み

尿がある程度膀胱にたまると、その情報が脳に伝わり尿意を感じます。
排尿をコントロールしているのは、脳からの指令や自律神経(交感神経と副交感神経)です。

交感神経は、膀胱を弛緩させて広がり易くする事で、膀胱に尿を溜めます。
同時に尿道括約筋を収縮させることで、尿道を閉じて尿がもれ出ないように働きます。

膀胱に溜まった尿が一定量を超えると、尿意が起こり副交感神経が働くようになります。
膀胱の排尿筋が収縮し、尿道括約筋が弛緩して排尿の準備が整います。

このように排尿は自律神経(交感神経と副交感神経)の影響を強く受けています。
漢方薬で自律神経のバランスを整えることで、極度の頻尿症状や残尿感が改善する事を多く経験しています。

自律神経症状が原因の頻尿のなかには、緊張したり、電車やバスなどすぐにトイレに行けない状況でますます行きたくなるという方がいます。
また過去に失敗したトラウマから悪循環におちいり、長い間症状が続いてしまうというケースもあります。

そのような場合でも、自律神経に対する漢方薬で改善出来る事が多いです。

このようなケースでは、漢方薬の服用と共に少しずつトイレの回数が減ってくる事が多いです。
また残尿感や尿意切迫感も一緒に改善していく事が殆どです。
その結果、トイレの事を常に意識してしまうという事も段々と無くなっていくと思います。

最終的には排尿に関する症状で日常生活に大きな支障が出る事は無くなり、調子を崩す前のように気軽に外出したりバスや電車で旅行に行けるようになると思います。

身体の冷えが伴うケース

冬場にトイレが近くなるように、身体の冷えの強い方は少しでも冷える原因となる水を外に出そうとして、トイレが近くなる傾向があります。
多くの方は寒いところで長時間過ごした結果、立て続けにトイレに行ったという経験をした事があると思います。
そのような状態が慢性的に起こっている病態ともいえます。

このようなケースでは身体を温める漢方薬を用いることで、頻尿などの症状が順調に改善する事が多いです。
冬場やクーラーの効いた部屋で症状が悪化するという方は、冷えが原因の可能性が高くなります。

温める作用の強い附子や乾姜という生薬が含まれた漢方薬が中心になります。

身体を冷やす作用のあるコーヒーやゴーヤなどの苦みが強い物や果物は食べるのを控え、身体を温める味噌や生姜などを毎日の食事に取り入れると改善が早くなります。

筋力の衰えや機能低下が伴うケース

加齢などによる排尿に関する筋力の衰えや前立腺肥大が原因の場合、腎虚を補い身体機能を若返らせる働きの漢方薬を使用する事が多いです。
腎虚とは、膀胱機能、生殖機能、腎臓機能の加齢や過度の負担による機能低下を含む東洋医学の概念です。

筋力の低下が原因の尿漏れに対しては、膝の間にタオルを挟んで太腿を閉める運動が効果があります。
人参や黄耆といった身体に元気を与え、筋力を強くする生薬が含まれた漢方薬を使う事が多いです。
また良く歩いたり、良く噛む事は腎虚を改善して、身体機能を若返らせる働きがあります。

大切なのは過活動膀胱の原因が、どこにあるのかを正しく判断する事です。
原因は一つではなく、自律神経の乱れと冷え、自律神経と筋力の衰えなど複数あることもあります。

原因のはっきりしない過活動膀胱の治療は、西洋医学ではなかなか改善が進まないケースも多いようです。
漢方治療では自律神経の乱れ、身体の冷え、膀胱機能改善の漢方薬を用いる事で、過活動膀胱の症状が順調に改善する事が多くあります。

頻尿の症例

①60代女性
半年ほど前から頻尿、下腹部の違和感、不快感に悩まされています。
日中だけでなく、夜中にも何度もトイレに行きたくなり目が覚めるため、慢性的な寝不足にもなっています。

病院での検査では特に異常は無く、原因ははっきりと分かりませんでした。

体質や症状の出方から、改善効果があると思われる漢方薬をお出したところ、服用開始1か月後には下腹部の不快感が無くなり、夜間、日中ともにトイレの回数も大幅に減りました。

服用を開始して2ヵ月後には、症状が消失して調子を崩す前の状態に戻りました。

この方の漢方薬代金 1日あたり400円(税抜き)

②40代女性
5年程前から、頻尿や尿意切迫感、残尿感に悩まされています。
病院では過活動膀胱か間質性膀胱炎の可能性があるとの診断を受けています。

自律神経を整える2種類の漢方薬をお出ししたところ、あきらかにトイレに行く回数が少なくなってきました。

また常に意識にあったトイレの事も気にならない時間が増え、外出時や趣味に没頭している時は忘れるようになりました。
急に我慢が出来ない程トイレに行きたくなる事もなくなりました。

服用開始1年後には、トイレで日常生活に支障が出る事は無くなりました。

この方の漢方薬代金 1日あたり600円(税抜き)

③30代・女性
3年前から頻尿と残尿感が起きるようになり、1年前から大幅に悪化してしまいました。
5分ももたずにトイレに行きたくなり、夜中も30回以上トイレに起きるため、極度の寝不足にもなっています。

病院では「過活動膀胱」との診断を受けています。
処方された睡眠薬を飲み始めると、しばらくは就寝中のトイレは落ち着きましたが、最近は効果が無くなり再び何度も目が覚めるようになりました。

2種類の自律神経に対する漢方薬をお出ししたところ、服用から1カ月後には夜中にトイレで目が覚める回数が1~2回に減りました。
調子が良いため睡眠薬の服用を中止しても、良い状態が続いています。

また日中も少しずつトイレを我慢できる時間が長くなってきました。残尿感も段々と気にならなくなりました。

漢方薬の服用を始めて9ヶ月後には、普段の生活の中で尿意で生活に支障が出る事は無くなりました。

この方の漢方薬代金 1日あたり700円(税抜き)

④40代・女性
夜中に何度もトイレに起きてしまい、睡眠状態の悪化が続いているため漢方相談に来店されました。
寝入りばなに立て続けにトイレに行き、その後も1時間毎にトイレに行きたくて目が覚めます。

また昼間も排尿後からすぐに尿意が起こり、1時間半ほどしか我慢出来ません。

3年程前から症状が始まり、その際は膀胱炎と診断を受けています。
抗生物質の服用で大腸菌感染は無くなったものの、その後も頻尿症状が無くならずに続いています。

現在は、睡眠導入剤と膀胱を拡張する薬を服用しています。
睡眠導入剤を飲むと寝付きは良くなりますが、夜中に何度も目が覚めるのには変わりが無いようです。

排尿に関する自律神経のバランスを整える事を目的に2種類の漢方薬をお出ししました。

漢方薬の服用開始2週間後には、日中は尿意が薄れ4時間ぐらいトイレの間隔が空くようになりました。
膀胱を拡張する薬の服用も止めました。
夜中の頻尿症状には、まだ変化はありません。

1ヶ月後には、睡眠導入剤を飲まなくても寝入りばなに何度もトイレに行きたくなる事が無くなりました。
寝付くまでには1~2時間かかりますが、寝てしまってから目が覚める回数が2回ぐらいに減りました。
日中の頻尿症状は完全に落ち着いたようです。

1ヶ月半後には睡眠導入剤を止めても30分以内に寝付けるようになりました。
夜中に目が覚める回数は2回ぐらいに減ったままです。

その後しばらくして来店が途絶えてしまいましたが、思いのほか順調に改善が進みました。

この方の漢方薬代金 1日あたり600円(税抜き)

その他の頻尿・泌尿器疾患の症例はこちら

膀胱炎に伴う頻尿や排尿痛、膀胱の不快感などは、抗生物質で速やかに改善する事が殆どです。
ただし大腸菌の感染が確認されず、原因がはっきりしない場合は、有効な治療薬も無く症状が長期に渡ってしまう事も少なくありません。

そのような症状に対して、漢方薬で改善、根治出来るケースが多くあります。

過活動膀胱と同じように細菌感染が認められない膀胱症状に間質性膀胱炎があります。
はっきりとした原因が分からず、有効な治療法が見つかっていない間質性膀胱炎も、漢方薬で改善出来る事があります。
頻尿や夜間頻尿、尿意切迫感でお悩みの方は、ご相談頂ければと思います。