
耳鳴りとは、実際に外で音がなっていないのに、耳の中や頭の中で音が聞こえる現象のことをいいます。耳鳴りが起きる原因は様々で多岐に渡ります。一時的な症状でしばらくすると落ち着くものもありますが、長期に渡って続く事もあります。
耳鼻科で相談しても加齢によるもので治療法は無いと言われる事があり、また治療を行っても改善が難しいケースも多くみられます。
そのため漢方薬での改善を希望される方も多く、良く相談を受ける事の多い症状の一つです。
耳鳴りと漢方薬
西洋医学で改善が難しい耳鳴りでも、適切な漢方薬の服用で改善出来るケースがあります。
ただし漢方薬が効き易い耳鳴りと効き難い耳鳴りがあります。
耳鳴りが起きる原因に、ストレスや疲労などが関係しているものは比較的治り易いです。
加齢により耳の機能自体が衰えて、音を感じ取る機能に萎縮や変質などの器質的な変化がみられるものは非常に治り難いです。
要するに耳の機能自体には問題が無く、別の要因から耳鳴りが発生している場合は治り易く、何かしら音を感じ取る機能に器質的な変化がある場合は治り難い事になります。
キーンという高い音は、東洋医学的には気の上衝と関係する事が多く治り易い傾向にあります。
耳に器質的な変化があっても、音が大きくなったり小さくなったりするなど強弱がある場合は、常時小さい音になるぐらいまでは軽減出来る事があります。
耳鳴りが始まって1年以内など比較的期間が短いものは治り易い傾向があります。
高齢の方で耳鳴りが10年以上続いているようなケースは、長く漢方薬を服用して頂いても改善は難しい事の方が多いです。
漢方薬改善症例
〇70代・女性
半年以上前からザーっという左耳の耳鳴りが、大きくなったり、小さくなったりしながら続いています。また人の話を聴く際に、耳の中で音がこもって響くように感じ、非常に聴き取りずらいようです。
最初は耳鼻科に掛かりましたが、年齢的なもので慣れるしかないと言われたようです。
その後、他店で漢方薬を購入して5カ月程服用されたようですが、特に効果は感じられず、胃の調子が悪くなったため中止されています。
症状の出方や体質的な傾向、糸練功の反応から、気血の巡りを良くする作用のある漢方薬をお出ししました。
服用を始めて6週間後
耳鳴りの音がだいぶ小さくなり、耳鳴りの事を忘れている時間が増えてきたようです。
9週間後
更に耳鳴りは小さくなったようです。
ただし耳の中で音が響くのは変わらずに続いています。
もう1種類、利水作用のある漢方薬を追加してお出ししました。
3カ月後
音が響く感じも少し減ってきました。
5カ月後
耳鳴りは殆ど気にならなくなり、音がこもって響く感じも軽減していましたが、10月に入りまた症状がぶり返してしまったようです。
元々季節の変わり目に弱く調子を崩す事が多いようで、寒暖差の激しさが影響しているようです。
身体を元気にして、温める作用のある漢方薬に変更しました。
6カ月後
漢方薬を変更すると、短期間でまた耳鳴りが小さくなり、音がこもり響く感じも軽減を始めたようです。
その後も症状の軽減は進み、服用開始から1年後には音がこもって響く事は無くなりました。
耳鳴りもかすかにある程度で、日常生活で気になる事も無くなったため、段階的に漢方薬の服用量を減らし始め、1年3カ月で漢方治療を終了としました。
この方の漢方薬代金 1日あたり400円~600円(税別)
〇40代・女性
1年半程前に夜中に突然自分の耳鳴りで目を覚ましてから、1日中常に両側の耳鳴りが続いています。耳鳴りが始まる1カ月前から、耳の詰りとめまいが始まり、それが治ったと思ったら耳鳴りが始まったようです。
耳鼻科で漢方薬を処方され、婦人科では女性ホルモンの飲み薬と貼り薬を処方され、多少は軽減したようですがそれ以上は改善が進まなかったようです。耳鼻科では年齢的なものが原因とも言われたようです。
症状の出方や糸練功の反応から、疏肝作用のある漢方薬と血流改善作用のある漢方薬を組みわせてお出ししました。
漢方薬の服用を始めて1カ月後
耳鳴りは常にあるようですが、音が大きくなる頻度が減ったようです。
また耳鳴りはあるものの、その事が前より気にならなくなったようです。
2カ月後
小さい音で安定するようになりました。
体調全体が以前より良くなっているようです。
3カ月後
更に音が小さくなり、以前のように耳鳴りが気になる事が殆ど無くなったようです。
日常生活での支障を感じなくなったため、ご本人の希望もあり漢方薬の服用を終了して様子をみる事になりました。
この方の漢方薬代金 1日あたり600円(税別)
〇40代・女性
20日程前から強い耳鳴りが常時続いているため、漢方相談に来店されました。
耳鼻科を受診したところ耳自体には異常が無く、ストレスが原因の「更年期障害」と診断されたようです。
耳鳴り以外の症状として数年前から不眠症やPMSにも悩まされています。
耳鳴りの症状が出だしてからは、睡眠状態も一段と悪化してしまいました。
婦人科で処方された漢方薬やホルモン剤を服用していますが、耳鳴りに変化はみられないようです。
症状の出方や糸練功の反応から、耳鳴りの原因はストレスによる自律神経の乱れにあるように思われました。
自律神経を整える事を目的に、補血作用のある漢方薬と気血の巡りを改善する作用のある漢方薬などをお出ししました。
漢方薬の服用を始めて1カ月後
漢方薬を飲み始めると、少しずつ耳鳴りが気にならない時間が増えてきたようです。
服用を始めて2週間を過ぎる頃からは、疲れた時以外は耳鳴りを意識する事は殆ど無くなりました。
睡眠状態にも改善がみられ、寝付きが良くなり、ぐっすり眠れるようになったようです。
3カ月後
耳鳴りは完全に無くなりました。
また生理前に様々な不調が起きるPMSに悩まされていましたが、殆ど不快な症状が起きる事無く生理がきたようです。
その後はご本人の希望もあり、体調管理を目的に少量の漢方薬の服用を続けています。
この方の漢方薬の代金 1日あたり 600円(税別)
〇40代・女性
1カ月程前から両側のジーっという低音の耳鳴りが常にあり、特に就寝時に気になって寝付けないようです。耳鼻科でビタミン剤や耳の血流を良くする薬を処方されていますが、耳鳴りに変化は無いようです。
症状の出方や糸練功の反応から補腎補血作用のある漢方薬をお出ししました。
服用を始めて2週間後
耳鳴りに変化は無く、やはり就寝時が特に気になるようです。
しかし前回はジーっという低音との事でしたが、今回は電子音のような高めの音がするとの事です。
漢方薬を再考して、気の上衝を鎮める作用のある漢方薬と鎮静作用のある生薬末に変更しました。
1カ月後
前回から昼間は全然気にならなくなりました。就寝時はかすかに音がするものの、あまり気にならなくなり、以前のように寝付けるようになったようです。
この方の漢方薬の代金 1日あたり 550円(税別)
〇40代・女性
1カ月程前から左耳のキーンとする高音の耳鳴りが続いています。
特に就寝時に気になるため、なかなか寝付けず、寝ても2~3時間で目が覚めてしまうようです。
耳鼻科での聴力検査では異常が無く、血流を良くする薬を処方されましたが効果は感じないようです。
症状の出方や糸練功の反応から、自律神経を整える事を目的に補血作用と気の巡りを良くする作用のある漢方薬をお出ししました。
漢方薬の服用を始めて3週間後
耳鳴りはあるようですが、以前よりも音が小さくなり気にならない時間が増えたようです。
睡眠状態も少しずつ改善してきました。
6週間後
耳鳴りはありますが、あまり気にならなくなりました。
睡眠状態も良くなり、問題無く眠れているようです。
3カ月後
耳鳴りが気になる事は無くなりました。
この方の漢方薬の代金 1日あたり 450円(税別)
耳鳴に用いられる事の多い漢方薬
補腎作用のある漢方薬
〇六味地黄丸
〇八味地黄丸
〇牛車腎気丸
〇滋腎通耳湯など
地黄という補腎作用のある生薬が主薬の漢方薬です。
加齢による耳の機能低下が絡む耳鳴りや体力低下による耳鳴りに用いられる傾向があります。
胃腸が弱い方の場合、食欲不振、胃もたれや胃痛、下痢などの症状が起きる事があります。
気の上衝に対する漢方薬
〇苓桂朮甘湯
〇桂枝加竜骨牡蛎湯
〇桃核承気湯
〇苓桂味甘湯など
桂枝甘草という気の発散作用のある生薬が含まれた漢方薬です。
補血作用のある漢方薬
〇当帰芍薬散
〇連珠飲
〇人参当芍散
〇四物湯など
血虚によるエネルギー不足が絡む耳鳴に用いられる傾向があります。
肝胆の作用に対する漢方薬
〇柴胡桂枝湯
〇柴胡加竜骨牡蛎湯
〇小柴胡湯
〇大柴胡湯
〇柴胡桂枝乾姜湯
〇四逆散
〇柴胡疏肝湯
〇逍遥散
〇加味逍遙散
〇抑肝散など
ストレスが絡む耳鳴に用いられる傾向があります。
その他
〇釣藤散
〇半夏厚朴湯
〇桂枝茯苓丸
〇半夏厚朴湯など
漢方薬は耳鳴りが起きる東洋医学的な原因や体質に合わせて用いる事が大切です。
耳鳴りは適切な漢方薬の服用で改善出来る事があります。
お困りの方はご相談下さい。
直接ご来店頂くのが一番望ましいのですが、遠方や事情で来店が難しい方にも対応しています。
まずは電話(0598-30-6525)かメールでご連絡下さい。