不眠症と漢方薬

不眠症の分類

夜になってもなかなか眠れない。眠れないことで気持ちに焦りが出ると、ますます眠れなくなってしまいます。また睡眠不足の状態が続くと、日中の活動にも大きな影響が出てしまいます。

 

一時的な不眠症状であれば、睡眠導入剤などの服用も効果的だと思いますが、長く続いてしまうと効果が薄れ服用量が増えることになり、止められなくなってしまう危険性があります。

 

漢方治療では不眠症を寝付きが悪い、睡眠が浅く全然寝た気がしないといった水毒型と、夜中に眼が覚めてから全然寝付けなくなる血毒型に大きく分けて考えます。

 

そこから更に体質や置かれている状況、その他の身体的な症状などから、適切な漢方薬を選んで症状の改善に取り組んでいきます。

 

〇血毒型・・中途覚醒タイプ、夜中に眼が覚めて眠れなくなる。基本的に眠りが深くあまり夢を見ない方に多く見られ、眠りが深い分途中で目が覚めると再び眠るまでに時間がかかる。

 

〇水毒型・・寝付きが悪い。眠りが浅いタイプ。夢を毎日のように見る方に多くみられ、夢と現実があいまいになり熟睡感が得られない。寝た気がしないという方に多い。

 

また血毒型と水毒型が混在しているタイプもあります。

不眠症の養生法

不眠症の養生法では、早起きをすることが大切です。
早起きをして朝日を浴びることで体内時計が正常化されるため、最初は大変だと思いますが、なかなか寝付けず睡眠時間が足りていなくても、決まった時間に早起きをする習慣をつけましょう。

 

また昼寝の時間を長く取ることも体内時計の乱れの原因になりますので、昼寝は30分以内に留める必要があります。早起きは、不眠症に限らず自律神経症状の改善に効果があります。

 

〇寝る前の時間の過ごし方
寝る直前までパソコンやスマートフォン、テレビを見ていると、交感神経が刺激されることで脳が興奮状態になり、不眠症の原因になります。問題なく眠れた場合も、睡眠の質は落ちていることが多いです。

 

眠る少し前にはテレビやパソコンの電源を落とすようにすると、不眠症の改善が早くなります。

不眠症の症例

①30代・男性
5年程前から夜眠る前に不安感や動悸が起きるため、なかなか寝付けないとご相談がありました。
多い時は週に3回程、朝まで一睡も出来ない事もあります。

 

自律神経を整える漢方薬をお出ししたところ、1ヵ月程の服用で随分と寝付きが良くなってきました。この1ヵ月間で一睡も出来なかったのは、1度しか無かったようです。

 

服用を開始して半年後には、眠れなくて困るという事は殆ど無くなりました。
また自律神経のバランスが整うことで、不眠症以外の不安感や動悸も殆ど消失しています。

 

この方の漢方薬代金 1日あたり 自律神経に対する漢方薬 400円 補助剤 230円

 

②40代・女性
3ヵ月程前から不安感や倦怠感が起きるようになり、それに伴い寝付くのに1時間以上かかるようになってしまいました。

 

自律神経を整える漢方薬をお出ししたところ、2カ月後には以前のようにすぐに寝付けるようになりました。また半年後には、不安感や倦怠感も消失しました。

 

この方の漢方薬代金 1日あたり 2種類の漢方薬 600円

 

③30代・女性
20代の頃から慢性的な不眠症に悩まされています。
寝付きはそこまで悪くは無いのですが、睡眠が浅く何度も目が覚めてしまいます。

 

睡眠導入剤の過度の使用には抵抗があるために、色々とサプリメントなども試してきましたが、思うような改善には至りませんでした。

 

漢方薬を飲み始めても、最初のうちは殆ど改善がみられませんでした。

 

それでも糸練功でお調べする反応は改善しているため、同じ漢方薬の服用を続けて頂くと、服用開始2カ月半頃から少しずつ目が覚める回数が少なくなってきました。
以前は寝付いてから2時間ぐらいで必ず目が覚めていましたが、5時間ぐらいは続けて眠れる日が増えてきました。

 

この方の漢方薬代金 1日あたり 2種類の漢方薬 600円

 

④60代・女性
3ヵ月程前から家庭内のストレスによって、動悸や息苦しさが頻繁に起きるようになってしまいました。夜中も激しい動悸で目が覚めてしまいます。
目が覚めると2時間ぐらい寝付けなくなるため、睡眠不足で体力的にもつらくなってしまいました。

 

病院から安定剤と睡眠導入剤を処方されましたが、殆ど効果を感じないようです。
自律神経を整える漢方薬と補助剤をお出ししたところ、2週間後には動悸が消失して、夜も朝までぐっすり眠れるようになりました。

 

この方の漢方薬代金 1日あたり 1種類の漢方薬と補助剤 550円

 

⑤60代・女性
10年以上前から寝付きが悪く、布団に入ってから寝付くまでに、殆ど毎日3時間ぐらいかかります。夜中に何度か目を覚ます事もあります。
今まで何度か睡眠導入剤や安定剤も飲みましたが、あまり効果を感じなかったようです。

 

2種類の自律神経を整える漢方薬をお出ししました。
最初はなかなか改善がみられませんでしたが、服用3ヵ月ぐらいから少しずつ寝付きの良い日が増えてきました。

 

その後も一進一退はありましたが、半年を過ぎる頃から布団に入ってすぐに眠れる日がだいぶ多くなりました。また一度寝付いてしまうと、夜中に目を覚ます事が殆ど無くなりました。不眠症以外の体調も、全体的に良くなっているようです。

 

まだ日によっては寝付くまでに時間が掛かる事もありますが、漢方薬を飲み始める前に比べるとあきらかに調子が良いと喜んで頂いています。

 

この方の漢方薬代金 1日あたり 2種類の漢方薬 600円

 

不眠症を改善する漢方薬を飲むと、逆に昼間眠くなってしまいませんか?とお問い合わせを頂く事があります。

漢方薬は睡眠薬のように無理に眠らせる作用はありません。気の巡りや身体のバランスを整える事で、不眠症の原因部分を改善していきます。

 

そのため効果が出るまでに時間が掛かる事もありますが、昼間にかえって眠くなる、日中も頭がすっきりしない、というような事はありません。

 

良く眠れるようになれば昼間も元気に活動出来るようになると思います。また依存性もありませんので、安心してご相談頂ければと思います。

不眠症に使われる事の多い漢方薬

・黄連解毒湯
・桂枝加竜骨牡蛎湯
・柴胡加竜骨牡蛎湯
・加味逍遥散
・逍遥散
・半夏厚朴湯
・四逆散
・抑肝散
・釣藤散
・帰脾湯
・加味帰脾湯
・酸棗仁湯
・温胆湯など

 

大切なのは体質、症状に合った漢方薬を服用する事です。

 

漢方治療を通じて、自然な眠りを取り戻すお手伝いが出来ればと思います。不眠症でお困りの方はご相談下さい。

 

直接ご来店頂くのが一番望ましいのですが、遠方や事情で来店が難しい方にも対応しています。
まずは電話(0598-30-6525)かメールでご連絡下さい。

むずむず脚症候群が原因の不眠症に悩む方もいます

「むずむず脚症候群」とは、じっとしている時や寝ている時などに足にむずむず感を感じて足を動かさずにはいられなくなる症状です。

 

そのため落ち着いて眠る事が出来ず、睡眠の質が著しく悪化してしまいます。
不眠を訴える人の10人に1人はむずむず脚症候群が原因とも言われており、日本には約200~400万人いるといわれています。

 

○症状の特徴

安静にしている状態で起こる
足を動かすと症状が和らいだり消失する
症状が現れやすい時間帯がある(夕方や就寝時など)

 

○むずむず脚症候群の原因

神経伝達物質であるドーパミンの機能低下や鉄分の不足による代謝異常などが原因として
考えられていますが、はっきりとした原因は不明です。

 

○むずむず脚症候群に対する漢方薬

安静時に症状が出やすく、動かすと症状が軽減する事から血流に対する漢方薬が有効なケースがあります。
また知覚神経のバランスを整える漢方薬で、足のむずむず感が改善する場合もあります。

むずむず脚症候群に対して、詳しくはこちらをご覧下さい。