昔から春になると心の調子を崩しやすいと言われています。
冬から春になると木々が新芽を出して成長するように、人間の身体も気の流れが活発になります。
体質的にうまく気を巡らしたり、発散させるのが苦手な方は、身体上部に上った気が停滞してしまい、「のぼせ」や「めまい」「頭痛」「動悸」「頭の中の違和感」などの症状が現れる事があります。
春時期になると、のぼせて顔がほてって気持ちが悪くなる、逆に足は冷える、めまいやふらつき、動悸が起きるというご相談に対して、気の上衝を発散させて自律神経のバランスを整える作用のある漢方薬をお出ししました。
この漢方薬を続けて頂くとめまいやふらつき、動悸には改善がみられましたが、のぼせ、顔のほてりにはなかなか変化が見られませんでした。
そこで改めて漢方薬を検討し直して、瘀血(血の滞り)がベースにあり、気の上衝を引き起こすという病態に対する漢方薬を追加したところ、1カ月後には以前に比べて大幅にのぼせ、ほてりの症状に改善がみられました。
最初にお出しした漢方薬は、水の停滞+気の上衝に対する漢方薬で、追加でお出しした漢方薬は血の停滞+気の上衝に対する漢方薬です。
気の上衝に伴う「のぼせ」や「ほてり」「動悸」など同じような症状でも、「気の上衝」のみが原因の場合と「気の上衝+水の病変」「気の上衝+血の病変」など原因は様々です。
症状の元となる原因部分を正しく鑑別する事の大切さを改めて感じた症例でした。
この方の漢方薬の代金 2種類の漢方薬 1日あたり 700円(税別)(体質・症状によって代金は異なります)