女性・男性不妊

不妊症の原因

日本では結婚生活2年以上で妊娠しない場合を不妊症と呼びます。現在は7組の夫婦に対して1組が不妊で悩んでいるとも言われており、妊娠し難い夫婦は増加傾向にあると言われています。
またその原因も生活環境の変化も含めて多岐に渡っています。

卵管の問題(卵管閉塞・卵管狭窄)

何らかの原因で卵管が詰まってしまい、受精出来ないために妊娠出来ない事があります。
卵管閉塞・卵管狭窄は、不妊症の原因の約3割におよぶとも言われています。

排卵障害

排卵障害の原因には様々なものがありますが、プロラクチンというホルモンが高値を示す高プロラクチン血症や、男性ホルモンの分泌亢進を特徴とする多嚢胞性卵巣症候群などがあります。

子宮内膜の問題

子宮筋腫があっても必ずしも不妊症の原因にはなりませんが、出来る場所によっては妊娠の妨げになる事があります。

 

また着床に向けて厚さを増していく内膜が充分に育たず、薄いままだと不妊症の原因になるといわれています。子宮内膜が着床に向けた準備が出来た段階で、6mm以下の場合は妊娠が難しいと考えられています。

 

子宮内膜が薄くなる原因としては、女性ホルモンの機能不全が原因と考えられています。
また不妊治療で使われる排卵誘発剤には、子宮内膜を薄くしてしまう副作用があるといわれています。

免疫の問題

免疫異常が不妊症の原因となる事もあります。

 

抗精子抗体・・男性の精子を異物として攻撃してしまいます。
なぜ異物として認識してしまうのか、はっきりとした原因は分かっていませんが、精子同士をくっつけて塊にして動けなくする抗精子凝集抗体と、精子そのものの運動能力を奪う抗精子不動化抗体があります。

 

抗リン脂質抗体・・自己免疫疾患の一つで、自己抗体が出来ることによって全身の血液が固まりやすくなり、動脈塞栓、静脈塞栓を繰り返す疾患です。

 

そのため胎盤の血管に生じた血栓が胎盤梗塞を起こしてしまい、胎児に血液が供給されなくなるのが原因で流産となってしまうと考えられています。
軽度なものは本人が気付かないケースがあります。習慣性流産を引き起こすのはこういう軽度なものが多いようです。

男性側の問題(男性不妊)

昔は不妊症というと女性側の問題と捉えられる事も多かったと思いますが、もちろん男性側に問題がある事も少なくありません。
男性不妊の原因は、大きく分けるとED(勃起不全)などの射精障害と精子の量や質の問題があります。

原因不明のもの

検査をしても明らかな不妊の原因が見つからない場合は、原因不明不妊と呼んでおり不妊症の3割以上を占めると言われています。

 

はっきりとした器質的な問題が分からないものの中には、晩婚化や子供を作るスタートが遅れる事による卵子の老化という問題が少なからずあります。

 

また冷たい飲食物の摂り過ぎによる低体温やストレスによる自律神経のバランスの乱れも不妊症の原因になります。

卵子の老化

社会環境の変化など様々な原因から、男女とも結婚する年齢が高くなってきています。加齢とともに内臓や骨・皮膚が老化をするのと同様に、卵子も老化をしていきます。

 

卵子が老化をすると受精や着床の確率が下がったり、染色体異常によって受精卵が育たなかったり、流産のリスクが上がってしまうと考えられています。
年齢があがるにつれて自然妊娠はもちろん、体外受精の成功率も下がってしまいます。

不妊症に対する漢方治療

漢方による不妊治療は不妊症の原因となる体質改善と、はっきりとした数値や器質的な原因がある場合は具体的な原因部分に対するアプローチをする事が多いです。

 

そのため事前で病院で検査を受けて、はっきりとした妊娠の妨げになるものがあるのか、または特に数値的にも器質的にも問題は無いのかが分かっていた方がより効率的な取り組みが出来ます。

 

たとえば漢方薬でどんなに妊娠に対するお身体の準備が整ったとしても、両方の卵管が完全に閉塞していては物理的に妊娠は難しい事になります。

 

もしあらかじめ卵管の閉塞が分かっていれば、漢方薬での卵管にたいするアプローチも出来ますし、場合によっては手術で卵管を通してから漢方薬で体質改善を行う事も出来ます。

 

また体外受精での妊娠・出産を予定されている方でも、漢方薬で体質や女性機能を高める事で体外受精の成功率を高めることは可能ですので、ご相談頂ければと思います。

 

漢方薬を飲む事で、「冷え性」や「生理痛」などの症状も一緒に改善していくこともありますが、はっきりとした自覚症状が無い場合は、漢方薬を飲み続けてもなかなか身体的な変化を感じられない事も多いと思います。

 

経験的には漢方薬の服用を始めて、半年から1年前後ぐらいで妊娠される事が多いように思います。
なかなか妊娠にまで至らない、習慣性流産がある、体外受精を考えているという方は、一度ご相談頂ければと思います。

不妊症の症例

〇30代後半・女性
結婚して2年近くになりますが、なかなか妊娠に至らないためご相談に来店されました。
20代の頃から手足を中心とした冷え性があります。また生理1~2日目は下腹部痛が強く、鎮痛剤を飲む事が多いとの事です。

 

基礎体温表や体質的な傾向から、血虚と冷えの改善を目的に漢方薬と補助剤をお出ししました。
また体質改善に対して有効なツボに印を付けて、毎日ご自分でツボ灸をして頂きました。

 

漢方薬を飲み始めて2カ月後には、例年に比べて冷えの自覚的な改善がありました。

 

その後も毎日の漢方薬の服用に加えて、食養生やお灸もきちんと続けた事もあり、漢方薬の服用開始半年後に妊娠されました。

 

その後は胎児が元気に育つように安胎薬を服用して頂き、無事男の子を出産したと嬉しい報告がありました。

 

この方の漢方薬代金 1種類の漢方薬と補助剤 1日あたり660円(税別)

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