ミネラル不足と強迫観念

〇20代・男性

 

半年程前から、何事をするにも自分の頭の中で悪いイメージが起きるようになってしまいました。
そのため鍵をかける時や火を扱う時など、何度も確認しないと安心出来ません。服を着る時にも何度も確認してしまうようです。

 

大学生で一人暮らしをしており、食事は殆どがコンビニ弁当のため栄養の偏りをご家族の方はご心配されていました。

 

症状の出方や糸練功の反応から自律神経のバランスを整える事を目的に漢方薬をお出ししました。

 

ミネラル不足は様々な心身の不調の一因になる事があります。
食事内容を見直すようお伝えするとともに、ミネラル不足を改善する目的で質の良い青汁商品と牡蛎肉製剤をお出ししました。

 

漢方薬を飲み始めて3週間後
今のところ症状に変化は感じられ無いようです。
糸練功の反応は改善していましたので同じものをお出ししました。

 

6週間後
強迫観念の出方が少しましになったようです。

 

8週間後
自覚的な症状が10→5と半分ほどになったようです。
牡蛎肉製剤は終了して、青汁商品と漢方薬だけにしました。

 

3カ月後
生活への支障はだいぶ減っているようです。
野菜を意識して食べるなど、食事にも気を使っているようです。

 

5カ月後
前回お出しした3週間分の漢方薬を、飲んだり飲まなかったり2カ月かけて服用していたようですが、調子を崩す事無く過ごせているようです。

 

漢方薬の服用は今回で止めて様子をみたいとのご本人の希望もあり、今後も食事内容に気を付けるようお伝えして、漢方薬を3週間分お出しして終了としました。

 

強迫性障害と診断されるような強迫観念などの症状のなかには、ミネラル不足が関係していると思われる事が時々あります。そのような場合は、適切な漢方薬の服用と食事内容の見直しで比較的短期間で改善が進む事があります。

 

この方の漢方薬代金 1日あたり400円(税別) ミネラル製剤の代金 1日あたり220~520円(税別)(体質、症状により代金は異なります)

 

ミネラル不足と心身の不調

原因不明の長引く心身の不調に、慢性的なミネラル不足が影響している事があります。

 

コンビニ弁当やレトルト食品ばかり食べる事で、たんぱく質や炭水化物、脂質、糖質などの栄養やカロリーは足りているのに、慢性的にミネラルやビタミンが足りていない新型栄養失調が問題になっています。特にミネラル不足による心身の不調は深刻だと考えています。ミネラルが不足するのは下記のような原因が考えられます。

ミネラルが不足する原因

①加工食品の増加

スーパーのお惣菜やお弁当、コンビニ弁当、レトルト食品やインスタント食品などの原材料は、製造過程の水煮処理によって殆どのミネラルが抜け落ちていると言われています。

 

②リン酸塩などの添加物

リン酸塩自体は身体に毒性が無いと報告されていますが、リン酸塩はミネラルと結合してミネラルを体外に排出する作用があります。

リン酸塩は、「ポリリン酸Na」「メタリン酸Na」「PH調整剤」「イーストフード」「調味料(アミノ酸など)」などで表示されている事も多く、現在は殆どの加工食品に使用されています。

 

③ストレスによるミネラルの消費

人体はストレスが加わると、ストレスから身体を守るためにミネラルの消費量が増えます。

その結果、体内のミネラル量が不足して更に心身の不調を招く悪循環になる可能性があります。

 

④土壌の問題などから野菜自体に含まれているミネラル量が減ってきていることが分かっています。

○ミネラルが不足すると・・・

自律神経失調症、うつ病、情緒不安定、発達障害、多動症、ADHD、倦怠感、冷え性、頭痛、肌荒れなど原因不明の症状の中に、慢性的な微量ミネラルの不足が関係しているケースが報告されています。

○ミネラル不足を改善するために

現代社会で生活する以上、加工食品や添加物を避けるのはとても難しい事です。摂取量を減らすように心がける事はとても良いことだと思いますが、必要以上に恐れて神経質になったり、遠ざけたりする必要は無いと思います。

 

厳密過ぎる健康法というのは長続きしなかったり、反動があったり、かえってストレスになり負担になる事もあります。

 

ただし毎日のように砂糖や人工甘味料の多い菓子パンや缶コーヒー、ジュースなどで朝食を済ませていると健康への悪影響は計りしれません。
特に子供さんへの影響は大きく、心身の成長の大きな妨げになる可能性があります。

 

発達障害と診断されるような多動傾向のある子供の食事に、ミネラルの多い天然出汁を使うと落ち着きが出てくるケースがあるという報告もあります。

 

時々はパンを食べるのも良いと思いますが、基本は白米と味噌汁を中心にする事をお薦めしています。下記のように出汁にこだわるようにされると尚良いと思います。

 

〇煮干しや昆布の出汁からミネラルをとる。

理想は煮干しや昆布から出汁をとる事です。やってみると意外と簡単だという方も多いです。

 

〇お仕事などで忙しく出汁を作る余裕がない方は、裏面の原材料表示を確認して、いわし・煮干しや昆布、あごだしなどを使っていて、添加物、○○エキス、○○風味などの表示が無いものを選ぶようにされると良いと思います。

 

近隣のスーパーを見る限り、顆粒タイプや液体タイプの出汁よりも、だしパック(粉末)の方が無添加のものが多くあります。

 

牛乳にはカルシウムは豊富ですが、カルシウム以外の栄養素が少なく、身体への吸収率はかなり低いと言われています。そのため小魚や海藻類からミネラルを摂る方が身体に良いと考えています。玄米もミネラルは豊富ですが、それ以上にミネラルを体外に排出する働きがあるため、長く続けて食べる事は控えた方が良いと思います。

 

〇天然の出汁について

天然の出汁を毎日とることは面倒に感じる方も多いかもしれませんが、昆布や煮干し、あご(飛び魚)、鰹節などを一晩水に浸けておくだけで簡単に作ることが出来ます。

出汁を活用することで、塩分摂取を減らすことにもつながります。天然の出汁を健康の第一歩として食生活の一部に取り入れると心身の健康面にはとても良いと思います。

天然出汁の健康効果

〇食べ過ぎを防ぐ
ニボシ、昆布、鰹節などでとった出汁を毎日飲むと、脳が正常な感覚を取り戻し、正しい満腹感が持続するようになります。しっかり食べているのに小腹が空く…という方は、炭水化物中心の食生活になっている事が多いです。

またお腹がいっぱいになっているのに、まだ食べたいと空腹感を感じる時には、摂取カロリーは充分なのに、身体に必要なミネラルが足りていない事が多いです。

 

〇心を安定させる
天然のうま味成分は精神的な安定を促します。天然出汁の摂取により、緊張感や不安感などの感情の起伏が改善したという報告まであるそうです。精神的なストレスの軽減には、出汁由来のうま味成分やミネラルが有効であると考えられます。

 

〇疲労回復
天然出汁に含まれるヒスチジンやアンセリンは血流を促す作用があり、様々な疲労の回復を促すということが分かっています。運動後の肉体疲労や勉強・精密作業後の精神疲労、更には眼精疲労の改善もし易くなるそうです。

 

〇血流の改善と体温の上昇
出汁に含まれるミネラルを十分量摂取すると、体が温まり、血流も促されるため、冷え、肩こり、頭痛などの予防改善にも有効と考えられます。

 

〇美容効果
天然出汁による質の良いミネラルを摂る事で、肌や髪がきれいになる美容効果も期待出来ます。

 

「天然出汁について」は、漢方仲間の埼玉県いわい薬局 竹部晃之先生が作成されたものに少しだけ加筆したものです。

〇味噌汁を飲みましょう。

パン食の方が増えていますが、やはり日本人には白米と味噌汁を中心とした和食が合っていると思います。味噌には解毒作用、穏やかに身体を温める作用があります。きちんとした出汁で味噌汁を作るととても美味しく、理想的な栄養のある料理になります。

 

毎朝パンを食べている方が、白米と味噌汁に変えるだけで体調が良くなる事もあります。

味噌も出来るだけ添加物が少なく、きちんと発酵させたものを使うようにされると尚良いと思います。インターネットで調べると色々とお薦めの味噌が出てくると思います。

 

良いお味噌汁を毎日のように飲んでいると、子供さんは理解力が深まり学業の成績が上がり、年配の方は物忘れ、認知症の予防になると考えています。