線維筋痛症による背中、前胸部の痛み

〇30代・女性

 

1年半前の背中の筋挫傷から神経痛となり、痛みが慢性化してしまったため漢方薬のご相談に来店されました。

 

生活環境が変わるなど、ストレスがかかると痛みが激しくなるようです。
MRIやレントゲンの検査を受けましたが異常は無く「線維筋痛症」「神経障害性疼痛」「肋間神経痛」などの診断を受け、現在はデパス、サインバルタを服用しています。

 

鍼灸治療を週に何回か受け、少しずつ痛みは軽減しているようですが、かなり辛い状態が続いているようです。

 

主な症状
〇背中や前胸部のビリビリ、ヒリヒリするような痛み
〇気温が高くなるなど暑いと痛みが強くなる
〇服が擦れると痛むため軟らかい素材の服しか着れない
〇疲れると痛みが強くなる
〇夕方から痛みが強くなる
〇寝る姿勢で痛みが誘発される
〇ストレスが掛かると痛みが強くなる
〇汗をかくとチクチクした痛みを感じるなど

 

糸練功の反応や症状の出方から、筋肉自体の問題も勿論あるようですが、知覚神経異常(自律神経の乱れ)が根本的な原因としてあるように思われました。

 

そのため清熱作用のある自律神経に対する漢方薬と筋肉の緊張を緩める作用のある漢方薬をお出ししました。

 

漢方薬飲み始めて1ヶ月後
痛みは変わらずありますが、全体的に少し軽くなってきたようです。
少し調子が良いのでデパスの服用量も2/3ぐらいに減らしました。

 

2カ月後
痛みの強さが10→3ぐらいに減ってきました。
また痛みを全然感じない時間も増えてきました。
デパスの量も半分に減らしたようです。

 

3カ月後
7月に入り暑い日が続いているにも関わらず痛みの調子は良いようです。普段の生活では殆ど痛みを感じる事は無くなりました。

 

ただし疲れたり、ストレスが掛かると痛みが出てきます。調子が良いのでデパスの服用も止めています。

 

半年後
引き続き普段の生活では殆ど痛みは感じないようです。サインバルタの量も半分に減らしています。ゴワゴワした素材の服も以前程気にせず着れるようになりました。

 

ただしやはりストレスがかかると痛みが出てしまいます。

自律神経に対する漢方薬を変更しました。

 

9ヶ月後
冬場に入り風に当たるなど冷えると筋肉の収縮痛が気になるようになりましたが、温める作用のある漢方薬に変えると間もなく落ち着きました。
入浴後に汗をかいてもチクチクする事が無くなってきました。

 

11ヶ月後
サインバルタの服用も止めましたが調子は安定しています。ストレスが掛かった際も以前ほどでは無いようですが、やはり痛みが出てしまいます。

 

漢方薬を2種類とも自律神経のバランスを整える作用のあるものに変更しました。

 

12カ月後
この1ヵ月間は一段と調子が良くなり、痛みは落ち着いているようです。

 

1年前は毎日痛みがあった状態から、普段の生活では殆ど支障が無い状態にまで改善をしてきました。
また向精神薬の服用も完全に止める事が出来ました。

 

ご本人も習い事をするなどストレスを発散するよう心掛け、痛みを気にする時間を減らすよう工夫をされた事もとても良い効果に繋がっているようです。
他院の鍼灸治療に通いながらではありますが、順調な痛みの改善がみられていると思われます。

 

「心因性疼痛」という言葉があるように、関節や筋肉にはそれほど大きな問題が無いにも関わらず強い痛みが続く事があります。

 

そのような症状の中には、知覚神経のバランスが崩れることによって過剰に痛みを感じているケースがあり、自律神経を整える漢方薬を服用する事で改善出来る事があります。
お困りの方はご相談下さい。