〇40代・女性
半年程前から排尿後にも関わらずすぐに尿意が起きてしまい、一日中常に尿意を感じるようになってしまいました。
また痛みがあったり、残尿感が強かったりと日によって症状が違います。
最初は過活動膀胱との診断を受けてベタニスを服用しましたがあまり効果が無く、その後膀胱鏡検査で間質性膀胱炎と診断を受けています。
症状の出方や糸練功の反応から、膀胱の炎症を改善する漢方薬と膀胱粘膜の正常化を目的とした漢方薬をお出ししました。
間質性膀胱炎には東洋医学的には幾つかの原因が考えられますが、この方の場合はアレルギーも影響しているように思われました。
そのため食べると口の中が痒くなるメロンやスイカに加えて、トマトやじゃがいもも食べるのは控えるようにお伝えしました。
漢方薬を飲み始めると少しずつですが症状に軽減がみられました。
3カ月後には常に頭にあったトイレに行きたいという感覚を忘れている時間帯が出てきて、膀胱や陰部に痛みを感じる事も減ってきました。
半年後には
残尿感も軽くなり、トイレの事を忘れている時間の方が多くなってきました。たまに痛みを感じる程度でそこまで苦にならないようです。
10カ月後
この頃から殆ど症状が気にならなくなりました。ただし生理前になると頻尿症状が出るようです。
膀胱の炎症を改善する漢方薬を半分量にして、生理前の症状緩和を目的に漢方薬を追加しました。
14カ月後
間質性膀胱炎に対する漢方薬を半分量に減らしても調子が良い状態が続いています。生理前の頻尿もそれほど気にならなくなりました。
そろそろ漢方薬も卒業出来そうになりましたが、この時期から仕事が急に忙しくなりストレスがかかるようになると再び頻尿症状が起きるようになりました。
膀胱自体の問題では無く、ストレスによる排尿に関する自律神経の乱れが原因のようです。そのためストレスを和らげ自律神経のバランスを整える漢方薬をお出ししました。
18カ月後
ストレスに対する漢方薬を飲み始めると間もなく頻尿も落ち着いたようです。
その後も調子の良い状態が続いているため、漢方治療を終了する事が出来ました。
ただしやはりメロンやスイカ、トマトは膀胱には良くなさそうです。少しぐらいは大丈夫ですが今後も食べ過ぎには気を付けるようにお伝えしました。
間質性膀胱炎の原因には幾つかあるように思われます。比較的多いのが膀胱部分を中心とした瘀血(血流障害)が原因によるものです。
そのような場合は、桃核承気湯、通導散、大黄牡丹皮湯、桂枝茯苓丸、芎帰調血飲第一加減、当帰芍薬散などで効果がみられる事があります。ただしその方にあった瘀血に対する漢方薬を服用しないと効果が無い事が殆どです。
また中には細菌性膀胱炎を繰り返す事で、検査では細菌感染が確認されなくても慢性炎症が持続してしまうケースもあるように思います。
そして今回のようにアレルギー反応として膀胱に慢性炎症が起きるケースもあるようです。
更に間質性膀胱炎という診断名とは別に、ストレスなどの自律神経症状としての頻尿、膀胱違和感などが絡んでくるケースもあり、その事がいっそう間質性膀胱炎の治療を難しくしているのだと思われます。
その他の間質性膀胱炎の症例はこちらをご覧ください
この方の漢方薬代金 1日あたり600円(税別)(体質、症状により代金は異なります)